かわいいサブレが再登場~スイス~
《スイス》
久しぶりにつくりました!
フランス南東部ドローム県ヴァランスに古くから伝わる、
“スイス衛兵”の姿をかたどった伝統菓子《スイス》。
このお菓子の歴史は16世紀のローマへと遡ります。
当時、ローマ教皇の護衛を務めていたのが、
精鋭として知られる“スイス衛兵”。
彼らは色鮮やかな制服と大きな帽子、
立派な口ひげをたくわえた印象的な姿で、
その風貌はヨーロッパ各地に伝わり、
のちにヴァランスの菓子文化に取り込まれていきます。
ヴァランスでは復活祭(Pâques)の時期になると、
このスイス衛兵を模した人形型のサブレが作られるようになり、
春の訪れを告げる季節菓子として親しまれてきました。
家庭や菓子店のショーウインドウを彩り、
子どもたちが心待ちにした“春の風景”でもあったと伝えられています。
いくつかの文献には、16世紀の作家フランソワ・ラブレーが
ヴァランス滞在中に《スイス》を好んで食べたという逸話も残されており、
地方菓子ながら当時から広く親しまれていたことがうかがえます。
厚みのあるサブレ生地をじっくりと焼き上げることで、
外はザクッと香ばしく、中はややしっとり、ほろり。
そしてひと口かじれば、オレンジのさわやかな香りがふわりと広がり、
粉の旨みと合わさって、素朴でありながら奥行きのある味わいを楽しめます♪
帽子や口ひげまで表現されたユニークで愛らしい姿、
そして飽きのこないクラシックな味わい。
それらすべてが、ヴァランスの人々に春の訪れを伝えてきた理由です。
当店では、その伝統的な製法と物語を尊重しながら、
素材の風味と焼きの香りを大切に、丁寧に焼き上げています。
ほんの少し旅をしたような気持ちで、
フランス地方菓子の温かさを
ゆっくりと味わっていただけたら嬉しく思います。










